顔認証によるリテール顧客体験の変革
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顔認証によるリテール顧客体験の変革

2023/03/15
スマートデジタルサイネージで消費者に合った情報を提供

オンラインショッピングに代表されるeコマースの売り上げは、10年以上にわたって急速な成長を続けており、昨今の感染症状況においてそのスピードはますます加速しています。推定では、2020年のeコマースの売上高は全世界市場の売上高の21.3%を占めており、前年比で15.8%増加しています。

アマゾンなどに代表されるeコマースの巨大企業は、衣料品や食料品など、従来オンラインショッピングへの移行が難しいと考えられていたカテゴリに浸透するために、迅速な配送システムや、柔軟な返品ポリシーなどの戦略を導入してきました。

現在、多くの小売業者がシームレスなオンラインからオフライン(O2O)のショッピング体験を構築するため、セルフチェックアウト端末や、QRコードによる情報提供などのテクノロジーの導入を進めています。一方で、完全に自動化されたAmazon Goストアのように、より積極的なテクノロジーソリューションの導入によって、未来の新たな小売体験の道が切り開かれつつあります。

スマートリテールとは

スマートリテールとは、企業がさまざまなテクノロジーを利用して小売環境において、顧客体験の向上・業務の合理化・販売機会の最適化により、全体的なショッピング体験の向上をすること、および、小売業者はさまざまなデータ分析を通じて、よりカスタマイズされたサービスの提供が可能となり、それらを販売実績の改善へと生かし長期的に良好な顧客関係を確立します。

近年、特にCOVID-19の流行の影響を受けて、顔認証技術は小売業者の注目を集めており、従業員の健康管理に加えて、顧客ロイヤルティプログラム、ゼロコンタクト決済サービス、およびその他のアプリケーションと組み合わせることもできます。

小売業界で役立つ顔認証技術 ~6つの特徴~

既に防犯カメラを導入している小売店舗やショッピングモールなどでは、多くの場合、既存のカメラやコンピューターに顔認証技術を統合することができます。比較的小規模な店舗の場合、FaceMeなどの優れた顔認証ソフトウェアをWebカメラが搭載されたPCにインストールするか、ドアや入り口の近くにある1台のカメラに統合することで顔認証を使用することができます。大規模なショッピングモールなどの場合、顔認証をカメラシステム全体とサーバーインフラストラクチャに

統合することで、マスク着用状態監視などの機能を施設全体に導入することができます。顔認証の導入は近年急速に進んでおり、感染症対策、店舗のセキュリティ、マーケティング、および顧客データの分析などを実現できるオールインワンソリューションとして注目を集めています。

革新的な顔認証技術によって、ヘルスケアやセキュリティといった機能以外に、店内でのショッピング体験を向上させるための様々な機能が提供されます。

1. 販売状況と顧客のデータ収集および分析

顔認証対応のカメラによって、顧客の店内移動、平均滞在時間、年齢、性別、表情などの重要な統計データを得ることができます。店舗管理者はこのデータを活用して、顧客にとってより便利となるような商品の配置や店舗レイアウトなどを考案し、店内でのショッピング体験を向上させることができます。

  • 店舗内の顧客の流れを分析

    従来の入退店者記録方法の多くが手動で行われおり、来店者数が多い場合、誤差が生じやすく、時間だけではなく人件費もかかります。FaceMe® Smart Retail などのAI顔認証技術により、GPU アクセラレーションをハードウェアで有効にして、一度に大人数の顔を検出して計算することができます。これにより、小売業者は、収集されたデータに基づき、商品の陳列や配分・営業時間の調整を行い、店舗全体のパフォーマンス向上をサポートします。

  • 買い物時の平均滞在時間

    このデータは、顧客がその場所で通常過ごす時間を示すだけでなく、さらに重要なのは来店が購入につながったかがわかることです。顔認証により、来店した消費者の購買意向を把握することができ、ほとんどの消費者が気軽に立ち寄って立ち去ると仮定された場合は、買い物ルートや店内の商品陳列を変えることで、消費を刺激することができます。

  • ピーク時間及び来店顧客の統計データ

    50/20ルールでは、販売する商品の種類によって効果が異なりますが、ほとんどの小売業者が基本的に、20時間以内に1週間分の訪問と売上の50%を獲得できると言われています。顔認証技術は、混雑を観察・監視して、ピーク時間や来店者の種類などのデータ分析を提供できます。小売業者は、これらの洞察を使用して、店内の人員を再調整、特定の時間に特定の製品を表示して、消費力の高いグループに向けてアピールするなど、より効果的なマーケティングの実現が可能になります。

  • 顧客の心理的状況と行動の分析

    買い物時の消費者の感情や、ある商品にどれだけ興味を示しているかを肉眼だけで判断することは非常に難しく、消費者の感情を読み取ることはさらに困難です。AI顔認証技術は、喜怒哀楽や無関心などの感情を判断して、さらに分類・評価をしてチャート化することができます。

    これらの分析データは、価格・ディスプレイ・顧客サービスなど分野ごとに分析して、必要に応じ調整するのに役立ちます。また、顔認証により、小売業者が個人消費とグループ消費の違いを理解し、製品価格が消費者の購入意欲にどう影響するかを理解しやすくします。最終的に、小売業者が店内販売戦略をタイムリーに調整し、買い物プロセスを最適化、来店者の買い物への欲求を高めるのに役立ちます。

  • スマートデジタルサイネージとキオスク

    上記のデータ分析に加えて、店舗のデジタルサイネージに顔認証技術を導入し、顧客の性別・年齢・感情、さらには会員プランに応じて、ターゲットを絞ったマーケティングメッセージやインフォメーションを表示することもできます。

    同様にデジタルキオスクでは、店内の顧客にアドバイスを提供することもできます。近年小売店に積極的に、導入されているセルフレジでは、顔認証による会員限定割引の表示や、電子決済との連動など、顔認証による非接触決済も可能です。

    FaceMe SDKは、デジタルサイネージやキオスクなどの IoT デバイスに顔認証を統合するための最適なソリューションです。さまざまなAI推論エンジン用に最適化され、複数のプラットフォームに対応、人口統計を分析して、マーケティングにさらなる精度と正確さをもたらすことがシンプルかつ簡単になりました。

2. VIPや顧客における顧客サービス戦略

VIP 会員サービス

あらかじめ登録を行った顧客は、顔認証により、パーソナライズされたVIP会員体験を得ることができます。VIP会員が店舗に入ると、スタッフはアラートを受信して、顧客へ挨拶したり、お気に入りのアイテムや売り場を案内したりすることができるようになります。また、会員登録を行った顧客は、店舗の端末やデジタルサイネージで、会員限定のオファーやパーソナライズされたおすすめ情報を得ることができます。会計時に、会員カードの提示や電話やメールなどの情報入力なしで、特典やプロモーションを自動的に適用することもできます。

デジタルサイネージ

店舗に設置されたデジタルサイネージで顧客の性別、年齢、表情、および登録会員であるかどうかを判別し、パーソナライズされた情報を表示することができます。同様に、デジタル端末を使用して顧客に対しておすすめ情報を提供したり、顔認証決済を使用して、非接触で会計を済ませたりすることが可能になります。

店頭受け取りサービス

オンライン注文商品の店頭受け取りは、大手チェーン店から小規模店舗、ブティックなどに至るまで、小売業者にとって重要な購入チャンネルになっています。顔認証によって、登録された顧客と関連する注文を即座に識別することができるため、メールや電話番号といった個人情報を声に出して伝える必要がなくなります。

3. セキュリティの向上による資産と製品の保護

ブラックリストに登録された人物の識別

顔認証ソリューションを搭載したカメラは、過去に万引きなどの問題を起こした人物等のブラックリストに登録された人物の入店を検出した場合に、直ちに警備員にアラートを送信することができます。このアラートには人物のID、店内の場所といった情報とともに、担当者が適切に対応できるよう、ブラックリストに登録された理由などの但し書きを追加することもできます。

制限エリアのセキュリティ

多くの小売店舗やショッピングモールには、従業員、管理者、または特定の資格を持つ従業員のみが立ち入りを許可されるエリアが存在します。各制限エリアのドアに顔認証を備えたセキュリティカメラ、またはスマートロックを設置し、許可された担当者に対してのみドアのロックを解除することができます。顔認証が統合されたシステムは、何者かが制限エリアへの侵入を試みたり、あるいは侵入した場合に、セキュリティ担当者にアラートを送信することができます。同様の仕組みは、許可された人物が潜在的な危険を伴うエリア(冷凍庫など)に滞在している時間を計測し、滞在時間が長すぎる場合にアラートを送信するなど、安全対策としても機能します。

4. 出退勤管理システム

顔認証対応のカメラは、従業員が仕事に入るタイミングを正確かつ非接触で記録することで、タイムカードの打刻漏れや紛失などの問題を回避し、従業員の利便性を高めることができます。

FaceMe TimeClockは、企業の勤怠記録用に特別に設計された顔認証アプリケーションです。Webブラウザーとカメラを備えた任意のデバイスに展開するだけで、顔認証だけで退勤を記録することができます。人事部署では、概要レポートと高度なフィルターを使用することで、特定の従業員や部門の出席率を簡単に確認でき、実際の労働時間に基づいて給与を正確に計算することもできます。FaceMe TimeClock の導入に関する詳細情報や評価版については、こちらからぜひお問い合わせください。

実例のひとつとして、FaceMe®を採用した顧客で、顔認証技術を大規模ショッピングモールの従業員本人確認システムに統合した例があります。モールに入る従業員は、情報キオスクを通じてサインインします。このプロセスには、マスクと体温の確認・健康状態に関する質問・手指消毒の提供・従業員の本人確認が含まれます。これらの確認項目に合格すると、従業員はその日のリストバンドを受け取り、同僚や買い物客に、店舗に入る際に検査を受けたことを示します。

FaceMe® Security Check-in Add-on などの顔認証技術と統合されたIPカメラは、24時間体制のセキュリティ監視を提供できます。肉眼と手動による身元確認の代わりに、社員や従業員はすでに顔と情報が登録されており、データベースから顔の検索と比較によって迅速に人物の識別と特定ができると同時に、勤怠記録も記録します。

5. レジやPOS端末、支払いシステムの管理とサポート

レジや支払システムで顔認証が導入されより便利に

レジやPOS端末のセキュリティ

顔認証をレジやPOS端末に統合することで、許可された従業員のみが適切な時間枠で使用できるようにすることができます。特定の取引や払い戻しなど、マネージャーの承認を必要とするような場合は、キーやカードの代わりに顔認証を使用することができます。

酒・たばこ購入時の年齢確認

顔認証技術とIDカードリーダーを組み合わせることで、購入にあたって年齢確認の必要な商品が未成年に販売されることのないよう、高精度で検証することが可能となり、店舗管理者の負担を軽減することができます。

6. 従業員の健康管理

従業員が専用の入り口から入店する際に、顔認証を搭載した端末によって、ドアのロックを解除する前に体温をチェックし、マスク着用と手指の消毒を指示することができます。FaceMeのような高度な顔認証を搭載したカメラは、マスクを着用していない人物だけではなく、鼻や口が完全に覆われているかどうかなど、着用状態が適切かどうかも検出できます。勤怠管理システムと統合することにより、非接触で従業員の出退勤を記録することもできます。また、プリンターと接続することで、入店時に健康状態をチェックしたことを示すリストバンドを印刷することもできます。

例えば、FaceMe が導入された大規模ショッピングモール向けの従業員スクリーニングシステムでは、入店した従業員は端末を通して出勤の際の手続きを行います。マスク着用状態と体温のチェック・健康状態に関する質問・手指の消毒・従業員の本人確認が行われ、これらのチェックをクリアした後、従業員はその日用のリストバンドを受け取り、他の従業員や買い物客に、健康状態に問題がないことを示すことができます。

一般的なスマートリテールソリューションの用途

店舗やモールなどの小売環境では、顔認証技術をすでに使用している既存のカメラやコンピューターと統合できることがよくあります。小規模店舗やスペースが比較的せまい店舗では、IPカメラを個人のパソコンに接続して利用することもできます。小売向けアプリケーションでの顔認証のためのソフトウェアおよびハードウェアソリューションを詳しく見てみましょう。

ハードウェアの場合

  • 「Arima」総合型非接触決済およびPOSシステム

    アリマ・コミュニケーションズ(台湾企業)と クアルコム(米国企業)が共同開発した企業向けソリューションです。3D TOFステレオ認識カメラと FaceMe 顔認証技術を統合して、消費者に非接触決済サービスを提供します。顧客は食品を注文後、購入までの流れは電子マネーと顔認証決済によって完了します。これにより、顧客は会計のために列に並ぶ時間が短縮されると同時に、顧客体験や顧客満足度が向上します。

  • 「FaceScan」非接触検温ステーション

    新型コロナウィルス後、赤外線体温センサーを実店舗の出入り口に配置して健康状態を確認する場所が増えました。FaceScanが開発した非接触型の総合アクセス制御機器には、FaceMe顔認証技術が導入されており、アクセス管理と制御・検温・マスク検出などを同時に完了することができます。顔認証技術は、多くの小売業者にとって、店内の人々の流れを効率よくし、流行防止のソーシャルディスタンスを実現、出入りする職員の健康状態を確認・管理して、店舗の通常運営維持をサポートします。

  • 「Sentry Helth Kiosks」アクセス制御と健康管理

    米国MPSが開発したSentry Sentry Helth Kiosksは、FaceMe 顔認証技術を組み合わせて、マスク検出・検温・アルコールによる手指消毒の提供、そして接触による感染リスクを軽減するための人員アクセス制御などの項目を実行します。また、個人識別の速度を加速し、建物内のセキュリティ管理の効率を向上させます。Sentry Helth Kiosksは、ユーザーのうなずきや首を振ることを検知することで、その人の健康状態を確認することもできます。詳細については、FaceMeとMPSの事例をご参照ください。

小売業者が顔認証技術を既存のハードウェアデバイスに導入したい場合、現在の小売システムにすばやく統合することができる顔認証SDKの導入を検討することを推奨いたします。 FaceMe® SDK は、さまざまな IoT デバイスやアプリケーションに柔軟に構築できます。詳細については、「2023年版 顔認証テクノロジー活用ガイド」を参照してください。

ソフトウェアの場合

  • FaceMe® Smart Retail

    世界が新しい小売時代に移りゆくにつれて、AI人工知能や5Gなどの革新的なテクノロジーの導入は、市場機会をつかむための主要な力になっています。 FaceMe Smart Retail は、顔認証技術で構築されたスマートリテール顧客分析ソリューションで、小売業者は、店内流動分析レポートを通じて、顧客の流れがピークの際に、よりスムーズな買い物ルートを計画できます。さらに、感情認識の機能・店内サービスに対する消費者満足度の詳細な分析・専用の顧客対応プログラムの設計を通じて、OMO(Online Merges with Offline)の新時代に、ブランドに対する顧客ホスピタリティーを強化し、小売業界を成功裏に完成させる デジタルトランスフォーメーションの鍵となるでしょう。

  • FaceMe® Security

    アクセス制御と管理のために特別に設計された総合型顔認証ソリューションです。さまざまな小売業界の環境に適しており、主流の画像管理システム (Milestone・Network Optix Nx Witness・VIVOTEK VAST2) または組込みのVMRアドオンを使用して、リアルタイムの監視を実行し、VIPやブラックリストに登録された人物に基づき、特定の事件発生時に警告通知を送信します。また、Check-inアドオンとHealthアドオンを選択して、アクセス制御と検温を同時に完了することもできます。 最も重要なのは、企業はその場で顔認証システムをアップグレードして構築でき、運用コストと建設コストの大幅な節約、担当者が新しいインターフェイスを再学習するための敷居が低く、より効率的なセキュリティ対策を講じて、企業と人員の安全を確保できることです。

  • FaceView

    スマートリテール時代の到来に伴い、多くの小売店は徐々にIoT デバイスを採用して、人件費を削減し、店内サービスの品質を向上させています。アドバンテックは、アドバンテックが開発した FaceView 産業用アプリに FaceMe AI 顔認証エンジンを導入、訪問者の流れの統計・顧客グループの分析 (性別・年齢・感情など)・VIPの識別・ブラックリストおよび対応処理のためにセキュリティ担当者へのリアルタイム警告通知の送信など、小売業者が効果的に店舗を管理できるようにしました。詳細については、FaceMe®とアドバンテックの事例をご参照ください。

顔認証の小売業界における今後の発展

顔認証が小売店舗に広く展開されるまでには、まだしばらく時間を要するかもしれませんが、このテクノロジーはすでに感染症対策、セキュリティ、データ収集・統計などの用途で幅広く活用されています。FaceMeをはじめとする柔軟で正確なソリューションにより、世界の多くの小売業者が顔認証の恩恵を受けることができるようになりつつあります。

昨今の感染症状況において、小売業者は運用コストを削減しながら、顧客を店舗に呼び戻すための戦略を必要としています。顔認証は、これらの課題を克服するための重要な解決策となります。

顔認証の概要、その仕組み、および導入方法については、「2023年版 顔認証テクノロジー活用ガイド」をご覧ください。

2023年に顔認証がどのように使用されているかについては、「2023年における顔認証の展望」を参照してください。

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