AI顔認証を使用した工場用スマートアクセス制御セキュリティシステムの構築
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AI顔認証を使用した工場用スマートアクセス制御セキュリティシステムの構築

2021/12/23

過去10年間、急速な技術の進歩に伴って自動化技術が改善され続けた結果、工場の組立ラインはほぼ完全に自動化されるまでになりました。現代の製造施設は、今日の絶えず進化する製造ニーズに応えるため、最新の自動化機能を採り入れていく必要に迫られています。

現在、大規模工場をはじめとした多くの施設が、デジタルトランスフォーメーションへの道を歩み始めています。一方で、人工知能(AI)技術は、顔やモノ、ナンバープレートなどを識別する画像認識の分野で発展を続けており、日常生活やビジネスにおいて大きな役割を果たしています。

このような状況において、従業員のセキュリティ管理や、機密情報を保護するうえで、自動アクセス制御システムの導入が多くの企業、特に毎日何百~何千もの人々が施設に出入りする中・大規模の工場にとって重要な項目の1つになっています。アクセス制御システムは、従業員に加えて請負業者、訪問者、および外部の技術者など、多様な人々を識別し管理しなければなりません。このため、現在多くの工場や倉庫において、アクセス制御と個人認証の効率化や、従業員の出退勤管理システムの統合といった目的で、顔認証技術の採用が進んでいます。

この記事では、工場において顔認証を使用する利点や課題、そして工場へ顔認証アクセス制御システムを導入する方法についてご案内します。

顔認証の主な役割と利点

スマートフォンでのログインや決済など、顔認証によるアクセス制御は私たちの身の回りで既に広く普及しています。また、昨今の感染症状況に伴って、多くの企業がオフィスや作業場に顔認証を統合して、従業員の健康状態の確認や安全管理を容易に行えるようにしています。感染症状況の収束後も、健康と安全の維持のため、非接触の検温スクリーニング技術は企業にとって不可欠となることが予想されます。

顔認証技術は、システムの統合、セキュリティ管理、本人確認などの用途で、多くの業界においてますます重要となっています。企業は、それぞれのニーズと要件に応じて、さまざまな用途で顔認証技術を利用することができます。以下の項目では、企業の規模に応じた顔認証技術の利用方法についてご紹介します。

  • 小規模施設:オフィス、商業施設

    昨今の感染症状況によって、従来の出退勤管理システムに存在する、他者との接触に伴う感染リスクが懸念されるようになっています。オールインワンの顔認証アクセス制御ソリューションを導入することによって、健康と安全を保ちながら、従業員の出退勤を管理することができます。また、最新のアクセス制御システムは、出退勤管理に加えてマスクの検出を行い、さらにマスクを着用した状態での顔認証を行うことができます。サーマルカメラを装備している場合には、体温も測定することができます。

    さらに、商業施設のネットワークIPカメラと顔認証を組み合わせることで、人と人との接触を減らすことができます。人の出入りが多いピーク時間帯でもスムーズに検温スクリーニングを行うことができ、人が滞留することを防ぐとともに、従来の手作業に要していたコストを削減することできます。また、アクセス制御カードなどの物理デバイスを廃止することで、紛失や盗難、不正流用、機密情報の盗難といったリスクを排除することができます。

  • 中規模施設:工場、倉庫、クリーンルーム

    多くの業界、特に半導体メーカーや物流企業では、デジタルトランスフォーメーションが進んでいます。このような企業では、従業員、訪問者、請負業者、外部の技術者など何百人もの人々が毎日工場、倉庫、クリーンルームなどに出入りするため、顔認証による厳格な入退室管理を行うことで、セキュリティを強化することができます。さらに、よりインテリジェントな追跡技術が開発されたことに伴い、物流施設においてより厳格なアクセス制御を行うことで、輸送の信頼性が大きく改善されています。工場や倉庫での顔認証の導入については、こちらの記事も併せてご覧ください。

  • 大規模施設:石油化学、重工業プラント

    大規模な製造工場や、石油化学、重工業プラントでは、広大な施設に何千人もの人々が毎日、時には1日に何回も出入りしています。これらの企業では、特定の施設への従業員の出入りを効果的に制御するために、多くの従業員の勤務記録や、どの施設へのアクセスが可能かの権限を管理する必要があります。

    顔認証技術を導入することによって、大型ワークステーションとカメラを接続して複数の人物を即座に識別し、従業員の出入りを正確かつ迅速に記録することが可能となります。また、顔認証技術を使用することで、機械や機器の操作を、適切な権限を持つ担当者のみが行えるように制限することもできます。

    さらに、顔認証ソフトウェアを既存のビデオ管理システム(VMS)およびリアルタイムメッセージングシステムと統合することによって、企業のセキュリティ管理を大幅に効率化することができます。セキュリティ担当者は、複数のモニター画像を手動で切り替えることなく監視することができます。さらに、ワークフローを監視することで、運用管理の効率を向上させることができるとともに、自動化されたプロセスをさらに最適化することができます。

大規模施設への顔認証の導入に伴う6つの課題

顔認証は、工場などの大規模施設でのセキュリティ用途でますます需要が高まっています。多くの大規模工場では、既存の環境にAI顔認証ソリューションを導入することが検討されていますが、まず以下に概説する6つの課題を克服する必要があります。

過酷な照明条件

石油化学プラントなどの大規模施設では、プラント間での人員と車両の出入りを管理するために、屋内と屋外にカメラを設置し、顔認証技術をスマートアクセス制御ドアシステムに統合しています。

屋外に設置されたカメラでは、日中は逆光で顔が暗くなり、また夜になると画面全体が暗くなるためノイズが発生することがあります。屋外の過酷な照明条件によって、多くの顔認証技術では認証結果が不正確となることがあります。

FaceMe®顔認証技術は、サイバーリンク独自のTrueTheaterTM画像最適化技術によって、顔認証を実行する前にシャープネス補正、逆光補正、ノイズ除去などの画質改善処理を行います。この技術により、精度を最大で11.5%向上させることができるため、正確な顔認証を行うことが可能となります。

顔周りの装備品

大規模工場の従業員は、屋外環境で長時間機械を操作するため、安全確保と感染症予防の観点からフェイスマスク、ヘルメットや帽子、安全ゴーグルなどを1日中着用する必要があります。その結果、顔が部分的に遮られてしまうため、顔認証はより困難となります。さらに、勤務開始と終了時には、多くの機器を起動または終了する作業が発生します。その際に顔認証がスムーズに行えないと、作業効率が低下し人件費の増加に繋がってしまいます。

FaceMe®の顔認証技術は、ディープラーニングを使用して顔の特徴点を抽出し、従業員のデータベースと比較します。人物がフェイスマスクを着用している場合でも、FaceMe®は98.21%という優れた精度で顔認証を行うことができます。このマスク検出機能によって、FaceMe®はNIST(米国国立標準技術研究所)のFRVT(顔認証ベンダーテスト)において世界トップレベルのAI顔認証エンジンとしてランクインしています。

カメラアングルの制限

大規模施設において顔認証技術をネットワークIPカメラや出入口のエッジデバイスに導入する場合、実装場所によってカメラアングルが制限されることがあります。想定される制約としては、極端に離れた場所にしかカメラを設置できない、逆光の影響を受ける、1台のカメラがカバーする監視範囲が広すぎるなどといったものがあります。これらの要因によって、映像から完全な顔画像を取得できず、人物を正確に識別できなくなってしまう可能性があります。

FaceMe®顔認証技術は、同じフレーム内で10人以上の人物をリアルタイムで識別することができます。さらに、カメラをドアの上部などに配置した場合でも、顔の上面、側面、あるいは部分的な顔画像から正確な識別を行うことができます。このように厳しい制限のある条件下で正確な顔認証を行うために、FaceMe®はさまざまなポータブル産業用デスクトップシステム(Intel NUCなど)、およびネットワークIPカメラをサポートしています。FaceMe®はその正確性により、NIST FRVT 1:1 WILDテストで96.98%の精度を達成しています。さらに、FaceMe®を使用することで顔認証をリモートでも実行できるため、大規模施設においてもより厳格なセキュリティ管理を行うことが可能となります。

人流の多さ

大規模工場における1日の人流は、請負業者、臨時雇用の作業員、外部の技術者など、数百人から数千人におよぶ可能性があります。これらの人々が集中するピーク時間帯にもスムーズなアクセス制御を行うために、工場では顔認証を迅速に実行できるソリューションが必要となります。

サイバーリンクのFaceMe®顔認証エンジンは、NVIDIA® CUDATMやIntel® MovidiusTMなどのハードウェアでGPUアクセラレーションを利用することができます。データベースが大規模な場合でも超高速で検索を実行することができるため、たとえば600万の顔データベースから1つの顔をわずか1.6ミリ秒で検索することが可能です。

ACE Biotekでの導入事例では、高速な顔認証と検温スクリーニングについて詳しくご案内しています。 

なりすましの防止

さまざまな人々が出入りする大規模施設では、他の従業員を伴った施設への出入り、顔写真を使用したアクセス制御システムのクラック、不正侵入など、なりすましに起因するセキュリティ上の問題が発生する可能性があります。また、アクセスカードを使用している場合、紛失や盗難といったリスクもあります。これらは、一部の大規模石油化学プラントでは特に深刻な問題となりうるため、受付エリアに顔認証システムを備えたエッジデバイスを配置し、セキュリティに要する人件費を削減しつつも、従業員や訪問者が工場へ入る前に個人認証を行えるような取り組みが進められています。

FaceMe®顔認証エンジンは、さまざまな生体検出およびなりすまし防止メカニズムをサポートしています。FaceMe®は、3D深度カメラまたは2Dカメラを使用して、人物が本物かどうかを識別することで、より厳格な安全管理を実現できます。

顔認証ソフトウェアと既存のハードウェアデバイスとの互換性

アクセス制御とセキュリティを強化するために大規模施設へ顔認証を導入する場合、ハードウェアデバイスとの互換性問題に直面することがあります。多くの製造工場や原材料工場では、AI顔認証技術やデータ統計を、既存のソフトウェアおよびハードウェアデバイス(カメラ付き端末、ネットワークIPカメラ、エッジデバイス用アクセス制御システム、ビデオ管理システム)と統合するニーズがあります。しかし、ソフトウェアとハードウェアとの間に互換性がない場合、導入コストが増加する結果となってしまいます。

クロスプラットフォームの顔認証エンジンとして、FaceMe®は複数のオペレーティングシステム(Windows、Linux、Android、iOS)をサポートしています。また、OpenVINOTM、TensorRT、TensorFlow、CoreMLなどのさまざまな機械学習エンジンをサポートしており、多くのPC、ワークステーション、サーバーなどで顔認証を実行することができます。選択したハードウェア構成にかかわらず、FaceMe®はそれぞれの用途に最適なセットアップを提供しています。

FaceMe® Securityは世界トップレベルのFaceMe®顔認証技術を備えたスマート監視システムのための顔認証ソリューションです。FaceMe®顔認証技術を使用してアクセス制御システムを構築する方法についてはこちらの記事をご覧ください。

FaceMe® Security: 大規模施設でのアクセス制御に最適な顔認証ソリューション

FaceMe® Securityは、製造施設でのスマートなセキュリティ制御のために設計されたインテリジェントなソリューションです。リアルタイムの顔照合、マスク検出と検温スクリーニング、サードパーティーシステムの統合、およびその他のアドオンなどによって、大規模施設におけるアクセス制御システムの安全性と効率性を向上させることができます。この項目では、FaceMe® Securityの詳細についてご紹介します。

FaceMe® Security Add-ons

いわゆる「ニューノーマル」と呼ばれる生活様式の変化によって、安全衛生対策は円滑な事業運営のために必要不可欠となっています。人と人との接触を効果的に減らしながら、個人の健康状態を確認するために、FaceMe® Securityは、既存のソフトウェアとハードウェアを補完する3つのアドオンを提供しています。これによって、アクセス制御、健康管理、物理的・環境的セキュリティのためのワンストップソリューションが実現できます。

  • Check-in Add-on: 消費電力の少ない小型デバイスに適したアドオンです。IPカメラに接続して、人物の顔の特徴点をすばやく抽出し、データベースと比較して、訪問者の入館手続きや従業員の出勤処理を迅速に行うことができます。
  • VMR (Video Management and Recording) Add-on: このアドオンは、最大9台のカメラを使用したリアルタイム監視、ビデオ録画および再生をサポートします。FaceMe® Security Centralを使用することで、施設のセキュリティ管理を簡単に行うことができます。セキュリティ担当者は、特定のイベントが発生した際にアラートをすぐに受け取り、記録されたビデオファイルを確認することができます。
  • Health Add-on: このアドオンは、顔認証技術を使用してマスクの着用状態を検出すると同時に、体温の測定と個人認証を行う、非接触の検温スクリーニングソリューションを実現します。また、基準よりも高い体温を検出した場合にセキュリティ担当者に通知を送信することで、適切な対策を講じることもできます。

幅広いエッジデバイスのサポート

FaceMe® Securityは、あらゆる規模のさまざまなエッジコンピューティングデバイスをサポートしています、Intel CPU/VPU、NVIDIA Jetson AGX Xavierや、複数のGPUを備えた大規模なWindowsワークステーションなど、企業は識別する必要のある人々の多さに応じて、さまざまなデバイスを選択することができます。たとえば、4基のNVIDIA RTX A6000 GPUを搭載したワークステーションは、最大172台のIPカメラをサポートできます。つまり300台のカメラを管理する必要がある場合は、2台のワークステーションをセットアップするだけで済むことになります。

主要なVMS、アクセス制御システム、ERPとの互換性

FaceMe® Securityを主要なVMS(Milestone、Network Optix Nx Witness、VIVOTEK VAST2)と統合し、インスタントメッセージング、アクセス制御、ERPなどのサードパーティーシステムに接続することもできます。VIPやブラックリストに登録された人物が入るなどの特定のイベントが発生した場合、コントロールセンターは、イベントに応じた対策を講じるようにセキュリティ担当者へ即座に通知することができます。

詳しくは、FaceMe® Securityのシステム要件をご覧ください

FaceMe® Securityの使用例

FaceMe® Securityは、さまざまな目的や用途で使用できます。たとえば施設の正面玄関に導入した場合の例を見ていきましょう。FaceMe®の顔検出および顔の特徴点抽出機能を使用するエッジデバイスと、温度検知機能を備えたIPカメラは、人物が入館すると体温を測定し、マスクの着用状態を検出します。同時に、身元を確認するために、サーバーを介して顔の特徴点データを送信し、コントロールセンターでデータベースとの比較を行います。またCheck-in Add-onを使用することで、訪問者の入館手続きや従業員の出勤処理を行うこともできます。セキュリティ担当者は、VMR Add-onを使用してカメラ映像をリアルタイムで監視し、特定のイベントが発生した場合に通知を受信して、必要な行動をとることができます。

まとめ

大規模工場や施設では自動化が急速に進展していますが、FaceMe® Security 顔認証技術を使用することで、屋内外の施設、工場、倉庫などの環境で以下の3つの目標を達成することができます。

  • 安全な非接触での従業員の出退勤・入退室管理、アクセス制御、およびそれらの記録の保存
  • マスクの着用状態の検出、検温スクリーニングによる健康状態管理、感染症対策
  • エッジワークステーション、サーバー、およびVMSを導入することにより、大規模施設のセキュリティ制御管理を改善し、人件費と運用コストを大幅に削減

小売店舗飲食店、接客業、および医療業界ではすでにAI顔認証技術の採用が進んでいますが、今後より多くの産業において顔認証が使用されていくことでしょう。FaceMe®のケーススタディでは、さまざまな分野での顔認証の導入事例をご紹介しています。

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