AXIS Camera Application Platform (ACAP) とFaceMe Securityの統合でエッジAIによるスマート監視を実現
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AXIS Camera Application Platform (ACAP) とFaceMe Securityの統合でエッジAIによるスマート監視を実現

2023/10/11

プロセッサ設計と製造技術の進歩により、高速にエッジAI処理が可能になり、AI技術の普及と導入が市場では加速しています。モバイル・デバイス用半導体開発メーカーは、数年前からAI アクセラレーション機能をシステム・オン・チップ(SoC)上に追加し始めましたが、現在これらのプロセッサを実装したエッジデバイスは手頃な価格で入手可能となり、強力なAI アクセラレーション機能を効率的にデバイス上で利用できるようになりました。

ビデオ監視システムにおける最新のトレンドは、AXIS ARTPEC-8 SoCのようなAIプラットフォーム対応のプロセッサによって実現されています。AXIS Communicationsは、これらのAIアクセラレーション・プロセッサを内蔵したネットワークカメラの展開を開始しており、同社の幅広い製品にも同様の機能強化を行う計画を立てています。

さらに、CyberLinkのFaceMe Securityのようなビデオ監視アプリケーションは、この最新デバイス処理能力を最大限に活用することが可能です。AXIS ARTPEC-8 SoCへのFaceMe技術の導入とFaceMe SecurityへのACAPカメラ対応により、ユーザーのスマートビデオ監視システムは、パフォーマンス向上によるシステムの大幅な効率化と、機能用途の拡大を実現することができます。

CyberLink FaceMeとAXIS Communicationsが新たに結んだパートナーシップによって、ビデオ監視におけるシステムインテグレーターやエンドユーザーにとってどのような意味があるのか、ぜひ本記事をご覧ください。

AXIS Camera Application Platform(ACAP)とは?

AXIS Camera Application Platform(ACAP)について

AXIS社は、ビデオ監視、アクセス制御、インターコム、音声システムなどのソリューションを提供するネットワークテクノロジー企業であり、業界のリーダーです。Axis Camera Application Platform(ACAP)は、幅広い業種や用途に適応可能なオープンアプリケーションソフトウェアプラットフォームです。ACAPはハブアプリケーションと考えることができ、さまざまなデータ駆動型の監視アプリケーションを使用して、ネットワークカメラを構成し利用することができます。

ACAPの柔軟性によって、幅広い業界のニーズに合わせカスタマイズされたアプリケーションを作成して使用することができます。それぞれの業界では業務内容や優先順位が異なるため、監視用ハードウェアへのアクセス方法や収集したデータの分析方法も当然異なります。つまり、ACAPは細かくカスタマイズされたアプリケーションを容易に作成することができるため、システム・インテグレーターと顧客の双方にとって優れた環境を提供することを意味します。

AXIS社は、最先端のハードウェア、開発ツール、インフラに対応するため、ACAPの開発を継続的に行っています。その狙いは、導入済みのACAPソリューションに将来性を持たせ、ユーザーが最新のハードウェアに加え、コンピュータ・ビジョンや ビデオ解析ソフトウェアのイノベーションを活用できるようにすることです。ACAPの名前には「カメラ」が付いていますが、ACAPはスピーカー、インターホン、レーダー製品など、ネットワーク接続された各種のAxisセキュリティハードウェアからの入力や データを統合することもできます。

CyberLink FaceMeは、AXISプラットフォームを通じて顔認証を提供

AXISがACAPを顧客にとって最高のソリューションのとする理由のひとつに、CyberLinkのようなパートナー企業の技術を統合できる点が挙げられます。AXIS Technology Integration Partnerプログラムに参加することで、AXIS製 IPカメラのユーザーは、本人認証、出席管理、入退室管理、セキュリティアラート、AIスマートモニタリングなどのケースでFaceMeの先進的な技術を活用できるようになります。

ACAPとFaceMeの密接な統合は、AI対応の高速プロセッサを内蔵したAXISネットワークカメラがFaceMeのAI処理に関する負荷の多くを肩代わりできることを意味します。結果としてより高速なAI処理と、より多くのビデオチャンネルの同時監視を可能にします。

ACAPカメラによる監視システムにおけるエッジベースの顔認証技術

AXIS ARTPEC-8 SoC 詳細

ACAPは、高度なエッジ分析とクラウドまたはサーバーベースのテクノロジーを柔軟に組み合わせ、アプリケーションを完全に、もしくは部分的にエッジで実行します。それでは、AXIS社独自のカスタム・プロセッサであり、SIA(Security Industry Association) アワードを受賞したARTPEC-8 SoCによって実現されるエッジAIの使用事例を詳しく見ていきましょう。

ARTPEC-8 SoC

画像元: AXIS社

ARTPEC-8は第8世代のカスタムSoCで、ネットワークビデオ解析の高速化に特化して設計されています。このプロセッサは最新のAXIS製ネットワークカメラに内蔵されており、ディープラーニングとAI推論をエッジデバイス上で実現することが可能となります。このエッジ上によるAI処理と最新のイメージセンサーを搭載したカメラと組み合わせることで、高速で正確なAI分析とアラートを実現します。

FaceMe SDKによるARTPEC-8のサポート

FaceMe SDKは、エッジベースのAI顔認証を広範囲のIoTおよびAIoTソリューションに統合するため、特別に設計された先導的かつ高精度のAI顔認証エンジンです。FaceMeのSDKは、幅広いプラットフォーム(Windows、Linux、Android、iOSなど)、アーキテクチャ、AI推論エンジン、GPU/VPU ハードウェアアクセラレーション機能をサポートしており、AXISの最新のARTPEC-8 SoCにも対応しております。

ACAP対応エッジカメラでの顔認証による主な利点

エッジにおけるAIベースの映像分析

画像元: AXIS社

エッジにおけるAIベースの映像分析

常に正確な顔認証技術が必需とされるような一刻を争うケースでは、高速なエッジ処理が必要とされます。FaceMeを利用するソリューションが導入される状況では、早急に結果を得るために、迅速なデータ処理とAIによる分析が必要とされます。クラウドによるデータ処理のオプションは、代替またはバックアップの選択肢として考慮されることはありますが、ネットワークによる遅延など不利な条件や、さまざまな懸念事項が発生する可能性があります。また、エッジデバイスの近くにサーバーを設置するという方法もありますが、その場合、追加のハードウェアやメンテナンスなど、望ましくないコストがかかるだけでなく、システム自体も複雑なものとなります。

顔認証テクノロジー活用ガイド【2023年 最新版】では、エッジベースによる顔認証の利点についてより詳しく解説しています。簡単に説明すると、上記のクラウド処理と比較した場合処理/応答速度の利点に加え、所有コストの削減、サービスの信頼性と可用性の向上、設置の柔軟性、セキュリティの強化などのメリットを得られる可能性があります。

AXIS Camera Application Platform(ACAP)カメラの使用

AXIS社は、エッジAI処理に対応したカメラの設置が、驚くほど簡単で効果的になるようにACAPカメラを設計しました。各カメラ上にARTPEC-8 SoCが搭載されているため、カメラ内部でデータを分析する処理能力を備えています。例えば、AXIS社のSoCは、視野に入ったあらゆるものに対して、リアルタイムの物体検出と分類を実行することができます。さらに、FaceMe SDKとの統合により、AXISのカメラ上でAIによる顔認証を実行することができます。FaceMeはNIST FRVT 1:1および1:Nにおいて、世界トップランクの性能を持つ、99.83%の精度となりすまし防止機能を備えた、顔認証ソリューションです。カメラに内蔵された小さなチップのおかげで、FaceMeをエッジ上で完全に実行できることは、並大抵のことではありません。

エッジ処理かクラウドベース処理かで迷っている場合や、ハイブリッドソリューションを考えている場合においても、ACAPは魅力的なソリューションとなります。このプラットフォームは、クラウド、ローカルサーバー、エッジ環境のいずれかを使用して、高度なエッジ分析とサーバーベースのテクノロジーを組み合わせる事が可能で、アプリケーションを完全にエッジで実行するか、部分的にエッジで実行するかを選択することができます。ACAPは優れた柔軟性を提供するだけでなく、このハイブリッド能力によってシステム効率を向上させ、ストレージ、ネットワーク帯域幅、ハードウェアの必要性を削減でき、よりシンプルで拡張性の高い効率的な導入が可能になります。

AXIS Camera Application Platform(ACAP)と顔認証を統合する方法

AXISとCyberLinkの統合

AXISとCyberLink FaceMe® Securityの統合

AXIS社 は現在、AXIS Face Detectorアプリという方法で、カメラを接続したACAPユーザーが利用できる基本的なコンピュータ・ビジョン・ソリューションを提供しています。しかし、機能は万引き犯の記録と検出など、ブラックリスト形式の機能に限定されています。

サイバーリンクのAI顔認証エンジンFaceMeと最新のAxisカメラの優れた柔軟性、精度、性能のメリットを共に活用することは比較的容易です。開発者は、AXIS社の無料SDKを使用してACAP内にインストールするアプリを作成するだけです。FaceMe SecurityはACAPとの互換性が認証されているため、ユーザーはアップグレードされたスマート・セキュリティとアクセス制御を統合したソリューションを利用することができます。具体的には、FaceMeを使用することで、ACAPカメラを使用してユーザーのID認証、出退勤管理、入退室管理、セキュリティアラート、AIスマートモニタリングなどの高度で自動化されたコンピュータビジョンベースのセキュリティプラットフォームを利用することができます。

開発者やその顧客によっては、エッジでの軽量の映像解析のみを必要とする場合もあれば、AXIS ARTPEC-8 SoCのようなプロセッサや内蔵カメラが提供するエッジ・ハードウェア・アクセラレーションを最大限に活用し、エッジで高度な顔追跡や顔認証を実行したいと考える場合もあるでしょう。

ACAPカメラとの統合におけるその他実装上の考慮点

ビデオマネージメントシステム

現在ビデオマネージメントシステム(VMS)は、映像による監視業務の中核と考えることができます。最も一般的な監視システムでは、計画的に配置されたカメラがあり、そのカメラはビデオ録画装置と表示モニターに接続されています。手頃な価格でコンピューターによる強力な監視ができるようになる以前、ビデオ監視システムは警備員が目視で監視するために使われていたかもしれません。 これらの機器では、より大きな画面へカメラをスイッチしたり、再生、一時停止、早送り、早戻しなどの操作で記録したビデオを再生するといったビデオ操作のみ可能でした。 このようなシステムは、コンピューターによるビデオ処理と大容量ストレージの登場とともにデジタル化されましたが、決定的な革命は、コンピュータ・ビジョンとAIベースの顔認証の登場によってもたらされました。このようにVMSは現在のビデオ監視において不可欠な要素であり続けています。

AXIS Camera Station

AXIS社は、独自のVMS、AXIS Camera Stationを提供しています。このオープンプラットフォームは、AXISブランドのデバイス用に設計されたソフトウェアベースのソリューションに最も適合しています。AXIS Camera StationをAXISベースのシステムのVMSとして使用することにより、AXIS社製のハードウェアを使用できる無料のツールであるため、監視システムのTCO(総所有コスト)を低く抑えることができます。

AXIS Camera Stationは、強力でありながら操作が簡単であり、直感的なユーザーインターフェースを備えているため、担当者はすぐに基本をマスターして、機能の奥深さを体験することができます。このVMSは、ビデオ監視、セキュリティ、入退室管理、検索機能、プライバシー機能に加え、リモート監視用のモバイル視聴アプリを搭載しています。AXIS Camera Stationは、その名前とは反して、AXISカメラと互換性があるのみではなく、インターホン、AVレコーダ、ウェアラブルなどのAXIS関連ハードウェアのサポートなども統合しています。

したがって、AXIS Camera Stationは、AXIS社製の様々なハードウェアと組み合わせることによって、高度なAI技術を導入した製品・テクノロジーの統合が可能で、AXIS製品を使用する上で、実用的かつ多くのメリットをもたらすことができるため、初めての導入に適したアプリと言えます。

FaceMe SecurityおよびAXIS Camera Station

FaceMe SecurityおよびAXIS Camera Station

写真提供:AXIS Communications AB. All rights reserved.

FaceMe SecurityをAXIS Camera Station VMSに統合することで、サイバーリンクの高い品質と精度を誇るFaceMe AI顔認証エンジンに基づいた顔認証機能を、VMSのユーザーインターフェース上で利用することができます。従来、AXIS Camera Stationは、最も基本的なビデオ監視以外では、訓練を受けたセキュリティ担当者による常時監視が必要でした。

AXIS社は、セキュリティカード、鍵、トークンを携帯するスタッフに基づくセキュリティとアクセス制御に使用されるVMSのサポートを提供します。顔認証は、ID認証の概念を人が所持しているものから、その人の固有IDである顔へとシフトさせることでセキュリティを強化します。AIを利用したID認証の本来の利点は、忘れたり、紛失したり、盗まれたり、借用されたりすることがないことです。さらに、24時間365日、比類のない精度とスピードで実行することができます。

FaceMeセキュリティの徹底統合、ACAPで可能に

AXIS Camera Application Platform(ACAP)は、AXIS ARTPEC-8 SoCを搭載したカメラを利用してFaceMe Security を統合できるため、FaceMeの顔認証の一部はAXISカメラ上で直接実行されるようになりました。その結果、顔認証エンジンの負荷が軽減され、システム全体でのパフォーマンスが向上し、より多くのビデオチャンネルを同時に監視できるようになります。

パフォーマンスの向上に加え、ACAPの統合は、要注目人物の検出、グループのタグ付けと管理、訪問者の集計などのFaceMeの魅力的な機能を、既存のカメラ記録のビデオタイムラインフィード上にシームレスに追加することを可能にします。

結論 – FaceMe SecurityとACAPのシームレスな統合

AXIS CommunicationsとCyberLink FaceMeの開発者の共同プロジェクトにより、最先端のAIベースの顔認証アルゴリズムが、ネットワークカメラのような主要商業用セキュリティハードウェアのエッジ上での運用が可能になりました。

この提携により生み出されるソリューションは、より高い効率性と能力という形で測定可能な付加価値をお客様に提供することになります。具体的には、FaceMe顔認証SDK、FaceMeセキュリティ、AXIS Camera Station VMS、ACAP、AXIS ARTPEC-8 SoC、AXISの最新ネットワークカメラなど、継続的に進歩していく技術を統合することでさらなる進化がもたらされることになります。

FaceMe®: サイバーリンクの顔認証トータルソリューション

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