「多要素認証」、「二要素認証」で顔認証を活用し、安全なログインを実現
FaceMe®
< 全ての記事

「多要素認証」、「二要素認証」で顔認証を活用し、安全なログインを実現

2023/06/30

PCやWeb・クラウドサービスなどを利用する際、必要になるログイン認証。

これまではIDとパスワードを用いた認証が一般的でしたが、不正アクセスや情報流出に対する脅威が大きくなる中、よりセキュリティレベルの高いログイン認証の導入が求められています。この記事では、セキュリティリスクを軽減するために各方面で導入がすすむ「多要素認証」について、そのメリットや利用例などを解説します。

そもそも多要素認証とは?多要素認証・二要素認証・二段階認証の違い

「多要素認証」とは、いったいどのようなものなのでしょうか。最初に、その定義や他の認証方法との違いなどについて、解説します。

多要素認証とは、複数の認証要素を用いて認証する手法のことで、英語で「Multi Factor Authentication(MFA)」と表記します。

認証要素には三つの種類があります。

  • 一つは「知識要素」。これは本人のみが知る情報のことで、例えばパスワードや秘密の質問などがこれにあたります。
  • 二つ目は「所持要素」。本人が所有する「モノ」のことで、例えばSMS認証で使用するスマートフォンやICカードなどがこれにあたります。
  • そして三つ目が「身体要素」。本人の身体的特徴のことで、例えば指紋や顔がこれにあたります。身体要素を用いた認証を生体認証と呼ぶこともあります。

この三つの要素のうち二つ以上を組み合わせて認証する仕組みを「多要素認証」、そのうち二つを組み合わせて認証する仕組みを「二要素認証」といいます。二要素認証とは、多要素認証の一部です。

近年、セキュリティレベル向上のために、ログイン方法を見直す企業や自治体が増えていますが、新たに導入されている主な方法が、この二要素認証です。

対して、「二段階認証」は、ひとつの認証要素を用いて二回認証をする仕組みになります。

例えばクラウド上のサービスを利用する場合、ログイン時の本人確認で、パスワードを入力したあと、さらに「卒業した小学校の名前は?」などの秘密の質問に対する答えを求められたとします。この場合、二つの情報を使っていますが、パスワードも秘密の情報もいずれも知的要素であり、ひとつの認証要素を用いてログインしているため、これは多要素認証でも二要素認証でもなく、二段階認証になります。

同じように二回認証をする場合でも、異なる認証要素を用いて認証する場合は、二段階認証ではなく、多要素認証(二要素認証)となります。

いま、多要素認証の導入が求められている理由とは?

今なぜ、こうした多要素認証が求められているのでしょうか。もっとも大きな理由のひとつは、なんといってもセキュリティ対策の強化です。

これまでは、IDとパスワードを使った認証方法が一般的でした。しかし、生年月日など簡単に第三者から推測されてしまうパスワードを使う利用者もいまだ多く、また、複数のサービスで同じパスワードを使い回すというケースもみられます。

さらに、近年では、パスワード入力を求められるシーンが激増しています。より複雑なパスワードを用い、利用シーンごとに異なるパスワードを設定すると、今度は逆にパスワードを忘れてしまうというリスクが高まります。忘れないように紙に書いて張っておく、などといった笑い話のような実態も耳にします。

セキュリティリスクのあるパスワードでのログイン

このように、これまで一般的だったIDとパスワードだけでは、多発するセキュリティインシデントに対応できなくなってきているのが現状です。

経済産業省が所管する独立行政法人・情報処理推進機構(IPA)が発行する「情報セキュリティ白書2022」によると、日本国内での2021年の情報セキュリティインシデントの数は、報道されている件数だけで全体で769件、2020年の537件から40%以上も増加しています。白書では、ここ数年の働き方の変化などにより、より脅威が大きくなっているとして、「VPNやリモートデスクトップを感染経路としたランサムウェアは、新型コロナウイルス感染拡大で定着したリモートワークにより顕在化した脅威である」としています。

さらに、今後もリモートワークは一般的なビジネス環境として活用が続くとして、「感染被害を引き起こさないためにも、企業・組織では脆弱性対策等の基本的対策のほか、万が一侵入された場合に備えた対策の充実が求められる」と注意喚起をしています。

こうした状況を受けて、経済産業省は2022年4月に産業サイバーセキュリティ研究会を開催し、「産業界へのメッセージ」としてサイバーセキュリティ対策の徹底を呼びかけました。その中で多要素認証についても触れ、「多要素認証等による認証を強化する」とその必要性を訴えています。

また、産業界だけではなく、地方自治体でも対策強化がはじまっています。総務省では「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」を2022年3月に改訂し、その中で多要素認証導入の必要性について複数個所で触れています。

このように、国内でもセキュリティインシデントが多発している現在、多要素認証のようなより高いセキュリティ対策をとることが求められているのです。

(参考)

導入がすすむ多要素認証、利用例を紹介

こうした背景から、多要素認証が利用されるシーンは、日本でも確実に増えてきています。これまでにも、サイバー犯罪・フィッシング詐欺などで狙われやすいサービスや、流出した場合の被害が甚大となる多くの個人情報を取り扱う企業などにおいて、より高いセキュリティ対策として多要素認証が導入されていました。

また、リモートワークの定着などを受け、PCのログイン認証を見直す企業や自治体も増えており、二要素認証などが活用されています。

主なものとして、以下のような利用例があります。

  • IDとパスワードによる認証後、利用者が所持するデバイスに送ったワンタイムパスワードを使って認証する(知識要素と所持要素)
  • ICカードによる認証後、指紋を識別して認証する(所持要素と身体要素)
  • 顔を識別して認証したあと、パスワードを使って認証する(身体要素と知識要素)

こうして複数の要素を組み合わせることで、一つの要素が流出してしまっても、ほかの要素が解読されなければ、第三者による不正な利用を防ぐことが可能になります。多要素認証を導入することで本人確認のハードルを上げ、悪意の第三者からの攻撃をブロックし、被害を防ぐことができるのです。

実際に、企業はもちろん、自治体、学校、など多くの団体が多要素認証の導入をはじめています。また利用シーンとしても、Webやクラウドサービス利用時のログインのほか、建物やセキュリティエリアへの入室、勤怠管理、VPN接続時など、多岐にわたります。

多要素認証において、顔認証が選ばれる理由は?

さて、より高いセキュリティ対策として導入がすすむ多要素認証ですが、なかでも身体要素のひとつである「顔認証」に対し、さまざまな理由から大きな期待が寄せられています。

顔認証とは、カメラが検知した顔の画像や映像から本人確認をするもので、生体認証システムのひとつです。生体認証は、前述した身体要素を用いた認証方法で、顔のほか、指紋、静脈などを利用する手法があります。

なかでも特に顔認証には、次のようなメリットが挙げられます。

忘れる、紛失するリスクがほぼない

まず、顔認証を用いるメリットとして、「忘れる、紛失するなどのリスクがほぼない」という点が挙げられます。パスワードや秘密の質問など、本人の頭の中に頼る知識要素は、前述したように忘れてしまうというリスクが常につきまといます。また、例えば総当たり攻撃などによりパスワードが解読されてしまうなど、知識要素は情報として流出する危険が高いという難点があります。

一方、ICカードやトークンなどといった所持要素は、紛失のリスクと隣り合わせです。さらに、所持者がなくさないように気を付けていたとしても、悪意の第三者による盗難なども考えられます。

その点で、身体要素については、忘れる、紛失するなどといったリスクはほぼゼロといっても過言ではありません。

導入しやすい

例えば、PCのログイン認証では、これまでのIDとパスワード(知識要素)に、顔認証(身体要素)を加えると、比較的大きな手間をかけることなく二要素認証を実現することが可能です。オンラインミーティングが当たり前となった現在、多くの人がカメラつきのPCを使用しています。そのため、特に新しい設備を導入したり配布したりする必要がありません。セキュリティ対策の必要性はわかっていても、手間やコストを考えると二の足を踏んでしまう…という方には、おすすめの方法といえるでしょう。

高い利便性

顔認証は、両手がふさがっていても顔さえ検知できれば機能するため、例えば荷物の運搬などが想定されるシーンでも認証に余計な時間を取ることなく、スムーズな本人確認が可能です。昨今はマスクをつけたまま高い精度で本人確認することができる顔認証システムも開発され、認証のためにマスクを着脱するといった手間も必要ありません。

ウィズコロナ、ポストコロナ時代に対応

新型コロナウイルス感染症の感染拡大で、接触に対する心理的負担が大きくなっている今日。情報取得のための機器と接触することなく認証できる顔認証システムは、時代にあった認証システムのひとつといえます。また、一部の顔認証システムには、検温スクリーニングなど高い機能を備えており、本人確認とあわせて体温を測定し、健康状態を監視することも可能です。

こうした理由から、多要素認証を導入する際、身体要素のひとつとして顔認証システムが多くのシーンで選ばれているのです。

顔認証については、例えば他人の顔写真を使った「なりすまし」が心配、と考える方がいるかもしれません。しかし、高度な機能を備えた顔認証を導入すれば、こうしたなりすましを防止することも可能です。高いセキュリティレベルを維持しつつ、多様なメリットを享受することができます。

顔認証におけるなりすましや防止機能についての、詳しい情報はこちら

多要素認証を実現するシステムギア社の「IC, 磁気カード対応マルチリーダー端末 PDC-310」への導入事例はこちら

まとめ

以上、PCログインなどで活用が広がる多要素認証、二要素認証とはどういうものか、なぜいま、導入が求められているのかについて、具体的なメリットとあわせてご紹介しました。これからの時代、セキュリティインシデントを未然に防止し、利用者からの信頼を得るために、多要素認証を用いた本人確認は必須といえるでしょう。

FaceMe®: サイバーリンクの顔認証トータルソリューション

FaceMe について
のお問い合わせ
FaceMe に関するお問い合わせ