【本格派】『歌ってみた』の作り方完全ガイド【簡単クオリティアップ】

前回「歌ってみた」初心者さん向けにスマホだけで無料で簡単にできる「歌ってみた」の作り方をご紹介しました。読んでいただけた方は「歌ってみた」がきっと身近なものになっていることでしょう!
今回は「歌ってみた」をもっと本格的にもっとクオリティ高くオリジナリティ溢れる仕上がりにしたいという方に向けて、応用編をお伝えしたいと思います。
それに加え、皆さんに楽しく投稿していただくために、「歌ってみた」を投稿する際に気になる著作権問題にも触れていきたいと思います。
こんな方にオススメ:
- スマホだけで無料で「歌ってみた」を作ることに慣れてきた方
- 動画や音声のクオリティをもっと上げて、人の目に止まる素敵な動画を作りたい方
- 「歌ってみた」投稿の際に著作権問題に触れないか心配な方
この記事では パソコン を使って歌ってみた動画の作り方をご紹介しています。
スマホ を使って気軽に編集を行いたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:【知識0から初投稿まで徹底解説】スマホだけで無料でできる「歌ってみた」の作り方
目次:
- 本格派さん向け:「歌ってみた」作成に必要な手順と機材
- 「歌ってみた」をもっとクオリティアップ!+α豆知識
- 本格派さん向け:「歌ってみた」動画の作り方
- 知っておこう!「歌ってみた」動画作成で気になる著作権問題
- おわりに
本格派さん向け:「歌ってみた」作成に必要な手順と機材
前回の記事でもお伝えしましたが、大まかな手順は初心者さんも本格派さんも同じです。
大まかなステップは前回もお伝えしたように、以下の5ステップです。
- 必要なものをそろえる
- 歌声を録音する
- Mix する or Mix師に依頼する(歌声とオフボーカル音源を合わせる)
- 動画を作成する( Mix した音源と動画を合わせる)エンコード
- YouTube やニコニコ動画に投稿する
クオリティを上げるには、必要な道具が少し異なってきますので、より綺麗な歌声をレコーディングし、編集する際に必要な機材を見ていきましょう!
1. 「歌ってみた」プロ志向・本格派さんにオススメ!必要なもの
ソフトウェア:
- オフボーカル音源
- 録音編集ソフト( DAW :録音・編集・ Mix 作業・編曲などが行える音声編集ソフト)
ハードウェア:
- PC
- オーディオインターフェース(マイクとパソコンを繋ぐもの)
- (コンデンサー)マイク
その他:
- マイクスタンド
- ポップガード
- イヤホンまたはヘッドホン
- 動画配信サイトに投稿する際のアカウント
オフボーカル音源や動画配信サイト・イヤホンまたはヘッドホンに関しては前回の初心者さん向けの記事でもご紹介していますので、今回は特筆すべき「録音編集ソフト・オーディオインターフェース・マイク・マイクスタンド・ポップカード」について少し細かくみていきましょう。

2. 録音編集ソフト( DAW )
こちらは歌声を取り込む録音ソフト兼音声編集ソフトです。レコーディングの際に、この録音編集ソフトを操作して録音・再生を行います。またオフボーカル音源と録音した歌声を合わせる Mix 作業もできます。録音編集ソフトには、有料ソフトと無料ソフトがありますので、ご自身のご予算に合わせて選んでみてください。
PreSonus Studio One シリーズですと、無料版・有料版両方あります。もちろん有料版の方があらゆる機能を使えるのですが無料版でも十分録音・音声編集ができますのでお試しで無料版から入ってみるのもいいですね。こちらのソフトは録音や再生に加え、付属プラグインを使った簡単な Mix 作業もできます。声の低音をカットしたり、高音をブーストして抜けのよい声にしたりと、自由自在に加工できます。
Mix 作業はソフトを使ってご自身で行うのも手間がかからずオススメですが、 Mix 作業のプロ Mix 師に頼むこともできるんです。 Mix 作業は実は奥が深く、作業内容を細かく書くと、「ピッチ補正・リズム補正・コンプレッサー・ EQ (イコライザー)・空間系の処理(リバーブ・ディレイ等)」とたくさんの項目があって、頭のなかが「??」でいっぱいという方もいらっしゃると思います。
そこまでは自分でできないけど、とことんクオリティは上げたいという方には、あなたの歌声が一番映える Mix をプロに作ってもらうことも1つの手です。無償で Mix してくれる方と有償で Mix してくれる方がいますので、気になる方は探してみてはいかがでしょうか?
3. オーディオインターフェース
「歌ってみた」を作るときに限らず、レコーディングをする際にはオーディオインターフェースという機材が必要です。オーディオインターフェースとは、パソコンとマイクに吹き込む歌声を繋ぐ機材です。
レコーディングした声を録音ソフトに取り込むための繋ぎの役割を果たします。マイクとパソコンは以下のような配線で繋ぐのですが、その中間地点に使うのがこのオーディオインターフェースです。
【マイク(歌声)→マイクケーブル→オーディオインターフェース( USB で接続)→パソコン→録音ソフト】
オーディオインターフェースは機種によって再生や録音時の性能に差があることもありますので、様々な商品の特徴を見ながらご自身の希望に合うものを用意しましょう。
ただ、本格的にやってみたいという方もいきなり高価なモデルを購入する必要はありません。初めは10,000円~20,000円程度の機種でも十分に綺麗な音質が録 音できますので、ご自身のお財布事情に合わせてお好きなものを選んでみてください。
4. マイク・マイクスタンド・ポップカード

一言でマイクと言ってもさまざまなものがありますよね。マイクには、ダイナミックマイクとコンデンサーマイクの2種類があり、特徴や音質の特性が異なります。ここではまずそれぞれの特徴と違いを見ていきましょう。
ダイナミックマイク | コンデンサーマイク | |
集音感度 | 低め | 高い |
電源の有無 | 不要 | 必要(オーディオインターフェースから供給可能) |
価格 | 比較的安い | 全体的に高い |
その他特徴 | 耐久性があり、湿気に強い | クリアな音質が録れるが、湿気に弱い |
このように比較しますと、管理がしやすく使い勝手がいい方がいいというのであればダイナミックマイク、とにかく音質を重視したいのであればコンデンサーマイクを選ぶことができるでしょう。
コンデンサーマイクはプロのレコーディング現場でも使われるくらいですし、音質の良さを求めるならコンデンサーマイクを!と飛びつきがちですが、音質がクリアで綺麗が故に、余計なノイズまで拾ってしまったり、多少の衝撃や水濡れで故障してしまったりと扱いづらいのも事実です。
その点、ダイナミックマイクは集音感度の面ではコンデンサーマイクより感度が落ちてしまいますが、故障しにくく湿気にも強いためとても扱いやすいです。
どちらもメリットでメリットがありますので、ご自身の経験や求めるクオリティに合わせて選択するのがいいでしょう。
また、細かいことですがより質の高い音声を録音したいという方は、マイクスタンドやポップガードを揃えるのもオススメです。マイクスタンドは途中で転倒して雑音が入るのを防ぐため、できるだけ強固な作りの製品を選びましょう。
ポップカードはレコーディング時の「パピプペポ」と発音した際に生じるような破裂音や余計なノイズを防ぐことができます。普段話しているときには気になりませんが、録音してみると意外とこの息の音が気になるものです。そこまで高価な製品を使う必要はありませんが、用意すると音質をグッと上げることができますよ。
「歌ってみた」をもっとクオリティアップ!+α豆知識
ここでは、「歌ってみた」動画のクオリティを上げるために、レコーディング時の豆知識をお伝えしようと思います。
まず、カラオケでは録音しない方が良いでしょう。一見カラオケはレコーディングする場所として最適に思えるかもしれませんが、カラオケの部屋は録音には適していないんです。
レコーディング時に大切なのは、マイクが歌声以外の雑音を拾いにくい静かな空間ですが、カラオケですと近くの部屋や廊下の音がうるさく、不要なノイズが録音に混ざりやすくなってしまいます。
その上、空調や室内機器から発生する機械音などもノイズの原因になってしまいますので、カラオケでのレコーディングは避けるのがベストです。
そうなると、初めは自宅でレコーディングするという方が大半かと思いますが、自宅でのレコーディング時には音質を上げるためやご近所さんとの騒音トラブルを避けるためにいくつか気をつけておくポイントがあります。
音漏れ対策をする: 窓やドアをしっかり閉める。部屋に隙間がある場合は、戸当たりテープやスキマテープなどを活用するのもおすすめです。防音精度を高めたいのであれば、後付けで壁に貼れる防音材を利用する方法もありますよ。
部屋の反響を防止する: リフレクションフィルターを導入するだけで、レコーディングした声のクオリティが大きく変わります。リフレクションフィルターとはリフレクション(反響)をフィルタリング(調整)するものです。マイクに向かって歌っても、歌声全てがマイクにまっすぐ届くわけではなく、四方八方へ届き反射してかえってくるので、歌声全体がどことなくぼやけた仕上がりになってしまいます。部屋の反響を防止することで、芯のある綺麗な歌声をレコーディングすることができますので、余裕のある方は、この辺りにも気をつけてみといいでしょう。小さなことですが、ちょっとした積み重ねで、レコーディングのクオリティはグッと上がるのです。本格的な機材を揃え、レコーディングにも気を使ったら、あとは動画のクオリティをどう上げていくかを考えるのみです。次は動画の編集方法を見ていきましょう♪
本格派さん向け:「歌ってみた」動画の作り方
あなたは実際に「歌ってみた」動画を投稿している方の投稿を見たことがありますか?
元々ある動画にご自身の音声を合わせたものやミュージックビデオ風に撮影をして歌声と合わせたもの、またレコーディング風景を動画にして、後で歌声と合わせたものなど、いろんな種類があります。
多くの人が同じ曲を歌っているのであれば、自分らしさを見せるためには、歌声とオリジナルの動画でひと工夫することで、たくさんの人の目に留まる可能性が高くなります。
おすすめはご自身で動画やレコーディング風景をさまざまな角度から撮影し、ミュージックビデオ風の1本の動画を作ることです。
ご自身で作ることで動画面での著作権問題を心配する必要がありませんし、何より他に埋もれないあなたのオリジナリティ溢れる作品を発信することができるのも嬉しいポイントです。
でもレコーディングや音声編集にも力を入れた上に、動画編集までするなんて大変すぎるし面倒くさい!という方もいらっしゃるかと思います。
そんなときに、簡単ステップでサクッとプロっぽい動画が作れたら嬉しいですよね。そこで今回は「歌ってみた」動画作成にぴったり!ミュージックビデオ風のオリジナル動画やレコーディング風景の動画を作ることができるサイバーリンクの PowerDirector 365 をご紹介したいと思います。
動画作成だけでなく、ご自身でレコーディングした歌声と動画を合わせる作業もサクッとできてしまうのも魅力的です♪
それでは早速 PowerDirector 365 を使った動画作成方法と歌声との合わせ方を見ていきましょう!
まず、ソフトを起動しますと、次のような画面が開きます。基本的な手順としましては、画面左の「ツール選択」ゾーンからツールを選び、動画素材・タイトル・エフェクト・トランジション(動画と動画の繋ぎ目のシーンチェンジエフェクト)をドラッグアンドドロップしていただき、編集タイムラインに移動させるということを繰り返して編集していきます。その都度プレビュー画面で編集した動画を確認しながら作業を進めることができます。
まずは、動画にしたい写真や映像をドラッグアンドドロップで緑の枠に取り込んでいきます。元々 PowerDirector 365に入っている無料素材を使うのもいいですし、ご自身のパソコンに取り込んでいる、写真や動画をクドラッグアンドドロップで緑枠内に取り込んでお使いいただくこともできます。次に緑の枠内にある素材をドラッグアンドドロップで編集タイムラインに移動させます。

▼元々入っている素材の1部

▼ご自身のパソコン内の写真や動画を取り込むのも簡単!

たくさんの動画や写真を繋ぐことで1本のオリジナル動画を作っていきます。ここで写真と写真や動画と動画の間に入れるといいのかシーンチェンジエフェクトの「トラジション」。
これがあるかないかで動画全体の印象とクオリティがガラッと変わります。画面左「ツール選択」の上から4番目の稲妻のようなマークを選択すると様々なトラジションが出てきます。
プレビュー画面で確認しながら曲や動画のイメージにあったトラジションを組み込んでいきましょう。こちらもドラッグアンドドロップで動画と動画の間に移動させるだけで完了です。

写真ですと、トラジションを使ったシーンチェンジの一部しかお見せすることができないのが残念ですが、お見せしますね!


このようにおしゃれな雰囲気を醸し出せるんです。 PowerDirector 365無料版にも無料の素材がたくさんありますので、1度ダウンロードしてみて使いやすくお気に入りのトランジションがあるかどうか実際に見てみるのもいいかもしれませんね♪
その他にもオープニングやエンディングで曲のタイトルやメッセージを入れることもできます。同じく画面左の「ツール選択」から「T(テキスト)」を選択し、フォントやカラーを選択していき、動画の中に組み込んでいきます。
以下のように、文字+背景(エフェクト付き)の素材もありますし、文字だけの素材もありますので、ご自身の希望に合わせて自由にカスタマイズしていくことができます。
▼文字+背景(エフェクト付き)の素材

▼文字だけの素材


▼文字の大きさ・フォント・カラー・デザインなど自由にカスタマイズできます。

動画の編集が終わりましたら、続いてレコーディングした歌声と合わせていきます。こちらもご自身のパソコンにある音声ファイルをドラッグアンドドロップで移動していただくだけの簡単な操作です。

動画と音声を合わせ終わりましたら、左上の「出力」をクリックします。出力する際に気をつけておきたいのが、①ファイル形式の選択②保存場所の指定をしてから、③書き出しを開始することです。

①では H 264 H 265であればどちらもYouTubeなどに対応しているので問題ありません。
迷った時は H 264を選択するといいでしょう。②では保存したファイルがどこに行ったか分からなくならないように、右下の「書き出しフォルダー」から保存場所を選択しておきます。
① ②の選択が終わりましたら、左下の「開始」をクリックし、出力を始めます。

あとは出力が終わるのを待つだけです。PowerDirector 365はあれこれ難しく考えずとも、直感的に操作できて、かっこよく雰囲気のある「歌ってみた」動画が作れるのが魅力的です。
知っておこう!「歌ってみた」動画作成で気になる著作権問題

「歌ってみた」を作ってみようと考えたときに、一番気になるのが、著作権問題。せっかく工夫して作品を作ったのに、著作権問題に引っかかったり、トラブルに巻き込まれたりしては、悲しいですよね。そこでここでは、「歌ってみた」動画と著作権の仕組みについて少し知っておきましょう。
「歌ってみた」は他の人が作った音源や動画に自分の声を合わせて動画を作ることが多いです。動画に関しては、先述した通りご自身で作るなら著作権問題に頭を悩ませる必要はありませんが、音源の面ではやはり一度著作権問題をしっかり把握しておいた方が今後の創作活動をより楽しく安心して進めていくことができると思います。それでは見ていきましょう。
1. 市販のCD音源は使用しない
市販の CD には、オフボーカル音源が収録されていることもありますが、こちらを「歌ってみた」に使用することはできませんので、注意が必要です。
2. 包括契約について確認する
動画配信サイトと著作権団体の間に「著作権団体が管理している作品の利用を一括で許可するという契約」=包括契約が結ばれている場合には「歌ってみた」の動画をその動画配信サイトに投稿しても問題はありません。
「歌ってみた」動画をよく投稿するYouTubeやニコニコ動画は JASRAC や Nextone と包括契約を交わしていますので、この2社が管理している楽曲であれば「歌ってみた」動画を投稿することができます。
3. 著作者の許諾があるか調べる
著作権管理団体が管理していない音源の場合には、著作者が二次使用の許諾を出しているかを確認する必要があります。音源使用の注意点などをよく読んで、どの範囲で音源の使用をしていいのか確認しましょう。
● 著作権についてさらに詳しく知りたい場合は以下の記事もご覧ください。
⇒ 関連記事:【著作権ガイド】YouTube 動画に音楽を使用するには
おわりに
本格的にというと身構えてしまいますが、ちょっとしたコツの積み重ねと、ご自身にあった使いやすいソフトを使うことで、思ったよりも簡単にクオリティアップしたクールでおしゃれな「歌ってみた」動画を作ることができるのが伝わりましたでしょうか?
この記事では パソコン を使って歌ってみた動画の作り方をご紹介しててきましたが、スマホ を使って気軽に編集を行いたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:【知識0から初投稿まで徹底解説】スマホだけで無料でできる「歌ってみた」の作り方
今回の記事が、「周りの人に埋もれない!私をさりげなく主張できる素敵な『歌ってみた』動画」の制作と発信のお力になれますように♪
動画編集が初めてという方には、今回ご紹介した PowerDirector をおすすめします。YouTube 動画や歌ってみた動画作成にも最適です。