マスクを使って魅力的なオープニングを作成する方法
CGIができる前、スターウォーズ作品の迫力ある宇宙シーンの数々がどのように作られたのかを疑問に思われたことはないでしょうか。「映画の黄金時代」と呼ばれた当時、映画制作者はコンピューターグラフィック技術を使うことなく、カメラ内ですべての特殊効果を撮り切ることを求められました。そのような時代、スターウォーズのシーンなどで最も使用された手法の1つがマスキングでした。
端的に言えば、マスキングとは、2つの異なる画像の一部を1つの画像に結合するプロセスです。撮影中またはフィルム転写中にフレームの一部を「マスク」したままにすることで、フィルム上のフレームの一部が露出されない状態で放映できるようになりました。その露出されないフレームに別の撮影画像を置き換えることで、合成が可能になったのです。これが「マスキングの魔法」と呼ばれた所以です。
今日でも、マスキングは動画や映画のポストプロダクションで使用される最も一般的な手法の1つですし、自主制作においてもマスクを使うことによって実現できる効果の多様性には目を見張るものがあります。こうしたデジタル編集技術を駆使することで、マスクを使った動画やフィルムの特殊効果、モーショングラフィックスを作成する方法は無限大に増えることでしょう。
正しく使用すれば、マスキングは視聴者を引き付ける強力なツールになります。特に、イントロシーケンスの中で行うことが最も有効であると言われています。テキストマスクから画像マスク、あるいはそれ以外の方法で、視聴者をあなたの世界に引き込んだり、惹きつけたり、感情を掻き乱すような感覚を与えたりすることさえできます(映画 『セブン』のオープニングが参考になるでしょう)。
この記事では、独自のイントロシーケンスを作成するためのマスクの可能性についてご紹介します。まずはタイトルシーケンスの定義と目的を確認し、その上で、YouTube に上がっている動画や映画のイントロシーケンス、そしてマスクを使用したその他タイトルシーケンスを作成する方法について詳しく見ていきましょう。
タイトルシーケンスとは?
タイトルシーケンスは、動画やテレビ番組、または映画の制作における最初の掴みの部分、つまり、オープニングのことで、それ自体で一つの作品とも言えるほどコンセプトが凝縮された制作工程です。これから始まるストーリーの世界観に、視聴者をぐっと引き込むのに役立つこのタイトルシーケンス。例えば、 ゲーム・オブ・スローンズ のようにマップと壮大な音楽を介して幻想的な世界観で観る人々を魅了するものや、ゾンビランドのように目を覆いたくなるほど残忍なタイトルシーケンスを敢えてスローモーションで見せるといったものを一度は見たことがあるのではないでしょうか。 in ゾンビランドのように目を覆いたくなるほど残忍なタイトルシーケンスを敢えてスローモーションで見せるといったものを一度は見たことがあるのではないでしょうか。
どちらもジャンルは大きく異なりますが、映画において素晴らしいオープニングタイトルシーケンスが視聴者にどう影響を与えるのかをよく表している良い例です。黒い背景に白い文字を入れた単調なタイトルよりもはるかに、視聴者が期待する世界のトーンやムード、またはスタイルを演出できます。
オープニングシーケンスにおいては、タイトルやメインキャスト、撮影クルーを明確に表示することも重要ですが、それ以上に、グラフィック、音楽、そしてマスクの助けを借りて視聴者を引き込むことも大きな鍵になります——そして、これから展開するストーリーの予兆を効果的に示唆することさえできるのです。
本の表紙を考えてみてください——見た瞬間、思わず手にとってパラパラと開いて読んでみたくなる——読者がそんな行動をとってしまうことを本の作者たちは望んでいるはずです。ラブストーリーを書いたなら、カバーをスティーブンキングのホラー小説のようなデザインにはしたくないでしょう。その逆も同様です。同じように、イントロシーケンスは、視聴者を魅了し、テーマに沿った気分にさせる必要があります。これについては、制作者と制作チームが、これから制作しようとしている映像の世界観を互いに深く共有できるまで、ストーリーボードなどを使って時間を費やす必要があります。
イントロシーケンスは、目的を果たすために、実に様々なデザインプロセスが求められます。カラーパレットからタイポグラフィ、アニメーションからテクスチャ、照明まで、シーケンスが映画そのものと同じくらいエキサイティングになるまで、パズルの各ピースを細心の注意を払ってまとめていく作業なのです。
優れたタイトルシーケンスの例
クリエイティブなタイトルシーケンスを作るには、より多くの優れた作品を見るのが一番です。以下のオープニング映像は、インスピレーションを刺激してくれるだけでなく、次に取り掛かるイントロシーケンスが自分史上最高のものになるようなイマジネーションを与えてくれるかもしれません。
カウンターパート/暗躍する分身
このSFホラーのイントロシーケンスは、この世のものとは思えないストーリー展開ながらも、視聴者にそう思わせないよう設計されています。ビデオマスクとタイトルマスクは両方とも、デジタルグラフィックスと実際の映像を合わせて使用したものです。これによって、ベルリンにあるオフィスの裏側で、日々別の何かが起きているのではないかと思わせるように演出されています。
DRIVE: A Year of Adventures by Road
このシンプルでありながら効果的なオープニングは、テキストマスクを使用することで視聴者を映画に引き込んでいます。タイトルは黒の背景にフェードインし、テキスト内では荒野の道路の映像が見えます。これは映画のテーマと完全に一致し、1つの簡単なマスキング手法がいかに映画のイントロシーケンスに大きな影響を与えることができるかを示しています。
ミッション:インポッシブル/ゴーストプロトコル
ミッション:インポッシブル の有名な音楽と並んで、導火線についた火が最終爆発地点に向かう典型パターンは、映画の歴史の中で象徴的な表現の一つです。ただし、このゴーストプロトコルのオープニングは、特にエキサイティングです。タイトルシーケンスにより、視聴者は3Dタイトルテキストとビデオオーバーレイを駆使した冒険に備えることができます。モーショングラフィックス内に実写映像を取り込むビデオマスクとともに、タイトルリビールマスクもオープニングシーケンス全体で使用されます。
タイトルシーケンスを作成するためのマスクツール
ここまで、いくつかの優れたイントロシーケンスを見てきました。ここからは、マスクを使用した効果的なシーケンスを作成する方法について説明していきます。以下にあげるのは、マスキング手法の主要な4タイプですが、それぞれの特色の違いがわかれば、作りたい作品のスタイルやトーン、世界観に合わせた最適なマスキング手法を選択することができます。
テキストマスク
テキストマスクを使用すると、ビデオテキストオーバーレイを作成でき、テキストの形に合わせてその内側に映像を表示する手法です。マスキングされたテキストは、必要に応じて不透明または透明にすることができます。
このタイプのマスクを使用して、別の映像素材を既存の映像の上にオーバーレイすることもできます。この手法では、1つの映像が画面上のテキスト内に表示され、もう1つの映像がテキストの周囲の背景で再生されます。
タイトル表示範囲マスク
タイトル表示範囲マスクは、 キーフレームと連携して機能し、必要な場所、必要なタイミングで、テキストの配置を指定できます。被写体の後ろから出てくるタイトルを見たことがあるでしょうか。これは、タイトル表示範囲マスクの一例です。この手法を使えば、画面上のどの位置であっても、さまざまな動きでタイトルを表示させる設定が可能です。
このタイプのマスクがない場合、タイトルテキストをスライド、ドロップ、または回転させながら登場させることはできますが、フレームの端の外側から来るため、必ずしも思い描いた通りになるとは限らず、せっかくのアイデアが表現できないことがあります。
画像マスク
画像マスクを使用すると、動画内の特定画像をオブジェクトとして個別に分離させ、その部分だけにマスク効果を追跡させることができます。あるいは、そのオブジェクトが移動する際、画面上の指定した位置に固定しておくことも可能です。マスクを作成した段階で、マスクの背後や周囲にある画像や色を調整していけば、スムーズに目的の結果を得ることができるでしょう。進行中にマスクの調整が必要な場合がありますが(常に完全に追跡されるとは限りません)シーケンスにテクスチャとトーンをもってダイナミックな効果を実装するための優れた方法です。
また、このマスクを反転して、アウトラインの範囲内に空白スペースを作成することも可能です。そのスペース内には、画像またはビデオシーケンスをオーバーレイできます。マスクのサイズ、不透明度、形状などを調整できるツールもいくつかあります。シェイプマスクを使用して、映像の外観を変更したり、オブジェクトを非表示にしたり、複製したりすることができるようになります。
マスク選択ツール
編集ソフトには円や四角など基本的な形の マスクテンプレート が付属していますが、時にはユニークな形にシェイプを取りたくなることもあるはず。マスク選択ツールを使用することで、目的の領域に、点をつなぐような有機的なマスク形状を自由に作成できます。ドロップされたキーフレームは、思い描いたアウトラインを作成するときに調整でき、必要に応じてドラッグして曲線を作成します。マスクの形状に満足したら、ノードを追加して特定の領域のカーブをカスタマイズしたり、ノードを削除したり、フッテージトラックとして調整したりすることもできます。
マスクを作成したら、今度はマスクの設定を試してみましょう。例えば、マスク全体をクリックしてドラッグし、新しいキーフレームを設定することも可能。また、マスクをぼかすことで、シャープでエッジの効きすぎた箇所を排除するフェード効果を作成することもできます。
PowerDirector で効果的なタイトルシーケンスを作成
ここで得た新しい知識を、次回のビデオイントロシーケンス制作でぜひ実践してみてください。
PowerDirector のマスクエフェクトを使えば、多くの人々を魅了するオープニングシーンを生み出すことができます。さらに、カスタマイズ可能なモーショングラフィックタイトル、動的キーフレームコントロールといった上級者向けツールを使用すると、まったく新しいレベルで映像を制作することも可能です。
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